はじめに
Catalyst9000シリーズなどで使用されるIOS-XEのバージョンアップ方法について、Cisco Communityなどに散乱していたため、こちらの記事で整理しておきます。
アップグレードの事前確認
ライフサイクルの確認
まずはバージョン体系やライフサイクルの定義を押さえましょう。

ターゲットバージョンの選定
次のドキュメントを参考にして、推奨バージョンのOSを選定するようにしましょう。
ターゲットバージョンOSのリリースノートの確認
次のドキュメントはCatalyst9300で17.12.xのバージョンを使用する場合のリリースノートとなります。使用している製品のリリースノートを確認してください。
- 新しく追加された機能
- 制限・制約事項
は最低限確認するようにしましょう。
アップグレード手順
前提その1
IOS-XE 17.12.xxまでは検証済みです。それ以降の場合も同様の手順で対応できると思われますが、念のためリリースノートやアップグレード手順について確認するようにしてください。
前提その2
現在のOSバージョン及びターゲットOSバージョンのbinファイルを既に取得済みであること。必要に応じてSMU(Software Maintenance Utilities)のbinファイルも取得してください。
cat9k_lite_iosxe.17.xx.xx.SPA.bin cat9k_lite_iosxe.17.yy.yy.SPA.bin cat9k_lite_iosxe.17.yy.yy.CSCwmxxxxx.SPA.smu.bin
SCPを用いたファイル転送の準備
ファイル転送方法はTFTPなどを用いた方法もありますが、SCPを用いた方法をここでは紹介します。
binファイルをbootflashディレクトリへ転送する必要があります。この時に使用するユーザーは特権ユーザー(privilege 15)でなければなりません。必要に応じて特権ユーザーを作成してください。
また、SSHプロトコルを使用した転送を行うため、SSH鍵生成、SSH接続のための設定を行います。
conf t ip scp server enable ip ssh source-interface vlan xxx hostname R1 ip domain-name cisco.com username admin-user privilege 15 password 0 xxxxxxxxxx ※xには任意のパスワードを入れてください。 crypto key generate rsa line vty 0 15 transport input all login local end

binファイルの転送
binファイルをアップデート対象の機器へ転送します。ここではSCPコマンドを用いて実施します。SCPを用いた転送方法については調べれば直ぐに出てくるので割愛します。
bootflashディレクトリの容量が足りない場合はエラーが発生します。
次のコマンドを投入して不要なファイルを削除します。
install remove inactive ※Do you want to remove the above files? [y/n]と聞かれます。
ファイルの確認
bootflashディレクトリに先ほど転送したbinファイルが全てあること、1GBの容量が余っていることを確認します。1GB余っていないとアップグレードの事前チェックでエラーが発生します。
dir bootflash:
インストールモード移行の可否
IOS-XEでは旧来のbundleモードと呼ばれる方法と推奨方法のinstallモードの2種類があります。後者はbinファイル(zipなどの圧縮ファイルと考えてよい)を解凍してpackageと呼ばれるファイルをメモリ上に展開することでより高速にアップグレードを実現しているようです。
この記事ではinstallモードでアップグレードを行うため、対象の機器のアップグレード方法を確認します。
show boot
BOOT variable = flash:packages.conf; と表示されていれば、インストールモードで動作しています。仮に、上記ではない場合は従来のモードで動作しているため、次のコマンドを流します。
configure terminal no boot system boot system bootflash:packages.conf end write show boot
現在のバージョンの確認
次のコマンドを投入して、現在使用している(Activate & Commitとなっている)OSのバージョンを確認しましょう。
show install summary show version
binファイルの展開
次のコマンドを投入することで、binファイルを解凍して.pkgファイルを展開します。5分前後時間がかかります。
install add file bootflash:cat9k_lite_iosxe.17.yy.yy.SPA.bin
展開が完了すると、.pkgファイルが確認できます。
dir bootflash: ※ディレクトリ内に次のファイルがあれば成功。 cat9k_lite-rpboot.17.yy.yy.SPA.pkg cat9k_lite-webui.17.yy.yy.SPA.pkg cat9k_lite-srdriver.17.yy.yy.SPA.pkg cat9k_lite-rpbase.17.yy.yy.SPA.pkg
アップグレードバージョンのステータス確認[inactive]
次のコマンドを投入して、先ほどインストールしたOSバージョンが表示されること、inactiveであることを確認します。
show install summary show install inactive
ターゲットOSのアクティベート
次のコマンドを投入することで、再起動後に新しいOSバージョンとなります。
install activate
再起動前にThis operation may require a reload of the system. Do you want to proceed? [y/n]が表示されるので、問題なければyを入力してください。
アップグレードバージョンのステータス確認[uncommitted]
次のコマンドを投入して、ターゲットOSのバージョンが表示されること、active & uncommittedであることを確認します。
show install summary show install uncommitted
この時点で、rollback timerが作動しており、デフォルトでは2時間です。
activate完了後、2時間以内にcommitをしなければ再起動後に元々のOSバージョンに戻ります。
アップグレードバージョンのコミット
次のコマンドを投入して、ロールバックタイマーを停止してアップグレードプロセスを完了させます。
install commit
アップグレードバージョンのステータス確認[commit]
次のコマンドを投入して、ターゲットOSのバージョンが表示されること、active & commitであることを確認します。
show install summary show version
SMU版のbinファイルのインストール
SMU版のインストールを実施します。必須ではありません。SMUの修正内容や適用ライセンスを踏まえた上で判断してください。
install add file flash:cat9k_lite_iosxe.17.yy.yy.CSCwmxxxxx.SPA.smu.bin activate commit
SMU版のアップグレードバージョンのステータス確認
次のコマンドを投入して、SMU版のターゲットOSのバージョンが表示されることを確認します。
show install summary
ダウングレード手順

参考:NX-OSのアップグレード方法について

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